パラオ在住者、元在住者、パラオ関係のお仕事の人、パラオを愛する人々によるパラ×パラオリジナルコラム

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パラオ」と言えばまず思い出すのが青い海、白い砂浜、美しいサンゴ礁、そして不思議な空間をかもし出すぽっこりお山のロックアイランド。そして、その素晴らしい海で楽しむダイビングやスノーケリングは余りにも有名。大物狙いのフィッシングやシーカヤックもアクティビティの一つとして外せない。パラオは本当に素晴らしい「世界一」の海を持った国と言っても過言ではないと思う。「世界一」と、言えばパラオが本当に世界一なことが一つあるのをご存知だろうか? 実は世界中の都市の中で、首都コロールの年間降雨量が世界一にランクインされたことがあるレベルなのだ。そう、非常に雨の多い、真水が豊富な国なのである。通常狭い島国といえば水不足がお決まりで断水や給水制限なんてことは普通。しかしパラオは水をジャージャー出しっぱなしで洗車なんて光景を良く見かける。その行為が良いかどうかは別として、水に困らない島国なのだ。一般家庭の水道代なんて日本よりも安く一月$5もしないのである。そして、雨が多いということは当然川が多く、滝も多く存在している。パラオに訪れたことのある方は「ガラスマオの滝ツアー」に参加された人もいるのではないだろうか。こんな狭い島で流程も短いこの国にこんな立派な滝が!?と、その意外なスケールに誰もが驚き、癒される美しい滝なのである。この川は一年を通して水が枯れることも無く、実際に滝を見てみると常時この水量を保てるなんて!と、本当に真水が豊富な国と実感させられる。そして真水が多いということは淡水域が多いということ。つまりこんな絶海の孤島のような場所なのにパラオには淡水魚が多数生息しているのだ。
そんなわけで、今回はこのパラオ×パラオの誌面を借りて前述したガラスマオの滝周辺で見られる渓流の主役たちを紹介したいと思う。まず渓流の縁に立って滝つぼを見下ろすと20〜30cmくらいの魚が泳いでいるのがすぐに分かる。
この魚は「オオクチユゴイ」という魚であり非常に好奇心の強い魚。滝壺にドボンと飛び込んでも平気で我々の周りを泳ぎ回る肝の据わった魚である。裸で泳いでいると思わぬ場所を咬み付かれ驚くことも。
次に目立つのがボウズハゼの仲間で「ナンヨウボウズハゼ」や、
「フデハゼ」等の美しいハゼの仲間が観察出来る。
個体数は少ないが「ルリボウズハゼ」も見られる。この魚は水底の岩や砂利に生えたコケ(藻類)をせっせと食べている姿を見ることが出来る。喧嘩や求愛時に時折見せる婚姻色は非常に美しく、まさに渓流の宝石と称えるに相応しい魚達だ。
流れの余り速くない、どちらかというと淵のようなところで見られるライギョのような風貌のゴシキタメトモハゼ。本種は見ての通りのフィッシュイーターで、ルアーにもヒットするような巨大で美しいハゼの仲間。
そして、ラッキーだと見られる「オオウナギ」。我等が通常食べるウナギより遥かに大きいウナギ。色も茶色く体も扁平した感じでちょっと不気味? おー!ウナギ〜♪なんて不用意に手を出すと咬まれることもあるので一応注意も必要。で、味の方は...ま、パラオ人は「ベリーオイシイ〜♪」とは言うが... でも一般的に市場に出回ることはない。
そして魚ではないが、「よくまあ、そんな場所で生活していますねえ...」と、思ってしまうような滝の急流で見られる「ツノナシモエビ」もその生態が非常に興味深いので探してみて欲しい。上記が一般的に確認しやすい淡水魚なので、せっかく滝ツアーに参加するなら是非マスクを持参して水の中も覗いてもらいたい。そこにはダイバーすら目にすることのない魚達が生き生きと泳いでいるはずだ。ただパラオに生息する淡水魚達はいわゆる純淡水魚ではなく、その生活史の中で一度は必ず海で生活する魚達で、純淡水魚はプラティ(胎生メダカの一種)などの外来種しか確認出来ていない。是非オリジナルの純淡水魚を見つけたいものであるが、今のところ確認出来てはいない。もし、パラオで見慣れない淡水魚を見かけた時は是非とも教えて欲しい。
ここでは紹介しきれないが、パラオの川には上記の他にも色々な淡水魚が見られ、中には非常に美しい「カキイロヒメボウズハゼ」や世界一大きいハゼなどと紹介される「ホシマダラハゼ」なども生息しているようだ。しかし、パラオの淡水魚達も我が国の淡水魚と同様に開発の影響にさらされている。前者のカキイロヒメボウズハゼなどは数年前からその姿を消してしまい幻の魚となってしまった。サンゴを守るという概念は欧米指導の元、世界的に広まってきており、パラオ人も盲目的ではあるがサンゴを守らねばという意識が近頃は芽生えていているようである。しかし、陸水域の重要性は殆ど認識していないようで、開発工事による土砂の流出に対する環境破壊への危機感はない。我々先進国が犯した過ちを教訓にしたいところだがそういった指導が出来ていないのが実情だ。恐らくパラオの淡水魚を守ることがパラオの自然環境を守ることに違いない。ガラスマオの滝を訪れる時はそんなことも考えながらこれらの美しい魚たちを見てやって欲しい。
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坂上治郎 (さかうえ じろう) |

